電気メスによる手術とレーザー手術
内視鏡による手術には、「電気メスを使用する手術」と「レーザーによる手術」に分類されます。高周波の電気メスを使用する「TURP」(経尿道的前立腺切除術=transurethral resection of the prostate)は、広く普及している効果的な手術です。しかしながら電気メスを使うため、どうしても出血が多くなりますので、血液をサラサラにするお薬(抗凝固薬)を服用している患者さんにこの手術は不向きとなります。
そして、1990年代半ば頃に登場したレーザー手術に、「HoLEP」(ホルミウムレーザー前立腺核出術=holmium laser enucleation of the prostate)と「PVP」(532nmレーザー光選択的前立腺蒸散術=photoselective vaporization of the prostate)があります。この2つが現在世界で行われている代表的なレーザー手術です。同じレーザーを使った手術ではありますが、レーザーの種類が異なり、それぞれ一長一短があります。今回はPVPについて説明していきましょう。
手術を検討されている患者さんへのメッセージ
「決意して手術された後は、皆さんが幸せそうな笑顔になられます。」
現在の高齢社会においては、“加齢”がリスクファクター(危険因子)となる前立腺肥大症の患者さんは、今後ますます増え続けると思います。しかも、血液をサラサラにするお薬を服用されているような基礎疾患をお持ちの患者さんも増えていくことでしょう。レーザーによる手術、「PVP」は、そういった患者さんでも適用できる手術といえます。
この手術を受けたほとんどの患者さんは、「なかなか(手術に)踏み切れなかったけれど、もっと早く手術すればよかった」とおっしゃいます。それほど、おしっこのことは相談しにくいものです。でも、一旦決意して手術された後は、皆さんが幸せそうな笑顔になられます。ご本人だけでなく、ご家族も「トイレからすぐに戻ってくるようになりました」と喜んでくださいます。
PVPは海外・国内共にデータも蓄積されていますので、ぜひ安心して手術を受けていただきたいと思います。
黒松 功先生略歴
三重大学医学部附属病院泌尿器科を経て、名古屋セントラル病院 泌尿器科科長。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本泌尿器内視鏡学会会員、日本レーザー医学会専門医、日本ミニマム創泌尿器内視鏡外科学会施設基準医、医学博士。